のん ライブレポート|ACO CHiLL CAMP 2026

のん、新緑の『ACO CHiLL CAMP 2026』に登場!
5月の鮮やかな新緑の香りと、初夏を思わせる濃密な青空。
2026年5月16日、静岡県御殿場市の「富士山樹空の森」にて開催された『ACO CHiLL CAMP 2026』に、のんが出演。ファミリー層向けのアトラクションやワークショップも充実した同フェス。会場を見渡せば、驚くほど多くの子供たちが笑顔で駆け回る、実にピースフルな空間が広がっている。
半ドーム型のテントステージには2脚の椅子と2本のアコースティックギターのみ。静かな期待感が漂う中、のんが登場。ショートパンツからスラリと伸びた健康的な脚が目を引き、バンダナにショートブーツのフェススタイルが実によく映える。傍らを支えるサポートギタリスト・岡愛子は、真っ白なセットアップを纏い、視覚的にも美しいコントラストを描き出していた。

「リハやりまーす」と、気負いのない緩やかな空気の中で始まったサウンドチェック。そこで奏でられたのは、本編のセットリストからは外れた「薄っぺらいな」だった。思わぬサプライズに、集まったファンからは早くも歓喜の表情がこぼれる。
そして「それじゃやりまーす」と本編へ。その佇まいは、それ自体がロックンローラーの矜持を感じさせて最高にクールだ。オープニングを飾ったのは「Renarrate」。アルバムでは焦燥感のあるハードポップなロックナンバーとして鳴らされていた同曲だが、アコースティックアレンジによって軽やかで心地よいドライヴ感へと生まれ変わっていた。のんと岡が刻むリズミカルな弦の響きが、真っ青な空へと吸い込まれていく。何より、のんのボーカルの圧倒的な伸びやかさが、会場の開放感を倍増させていく。
MCでは、このフェスならではの会場の気持ちよさをオーディエンスと共有。かと思えば、唐突に客席の「子供たち」と「大人たち」、さらに「子供か大人かわからない人たち」へのコール&レスポンスを煽るチャーミングな一面も見せ、会場を一気に一体化させていく。
ここからライブは一気に加速。「フィルムの光」に続き、「春よ受けて立つ」、「夢の味」を演奏。アコギのオーガニックな響きによって、のんの伸びやかなボーカルでポップさが一層際立つ。バンド編成とは一味違う、瑞々しくもロックなアプローチだ。

続くMCで楽曲の背景を丁寧に語り披露されたのは「荒野に立つ」。この曲ではスタンディングで感情を爆発させるように歌い上げるのん。それを支える岡の、エモーショナルなギタープレイが聴く者の心を打つ。オリジナル音源の持つ壮大なスケール感から引き算されたアコースティックだからこそ、一言一言の「言葉」がダイレクトに、聴き手の胸の奥へと突き刺さってくる。
会場がしっとりとした感動に包まれる中、又吉直樹のエッセイ「東京百景」にインスパイアされて制作したというMCを経て「夢が傷むから」へ。歌の説得力で観客を圧倒したあと、ラストナンバーとして鳴らされたのは「クライミー」だった。
のんの呼びかけに応えたオーディエンスの手拍子は、最初から約束されていたかのように完璧に調和していた。間奏とエンディングでのんが取り出したのはブルースハープ。このブルースハープは岡からプレゼントされたもの。実はのんは、前日夜中に猛特訓したらしい。初披露とは思えないエモーショナルな演奏が会場全体に響き渡った。

富士山を背にした新緑と抜けるような青空、そして、のんの無垢で力強い歌声の完璧なマリアージュがこの上なく贅沢で、どこまでも幸福な初夏のステージだった。

SETLIST
1. Renarrate
2. フィルムの光
3. 春よ受けて立つ
4. 夢の味
5. 荒野に立つ
6. 夢が傷むから(Inspired by 東京百景)
7. クライミー
Text by Team non
Photo by 中河原理英
©️ACO CHiLL CAMP


